検索技術の進化で広がる SEO 領域 - 2010年以降に要求される事は?

GoogleやBingの最近の検索技術の動向を踏まえて、SEOリスティング広告にどんな影響が出てくるか、検索エンジンマーケッターが注視すべき事項についてまとめる。
検索結果 UI の進化で SEM は何が変わるのか



過去に紹介した、ユニバーサル検索(ブレンド検索)やパーソナライズ検索、ソーシャル検索、リアルタイム検索(検索時点で最も新しく、かつ関連性の高い結果を表示)など検索技術の進化の例をあげつつ、SEOの効果測定における「ランキング指標を過剰に重視した効果測定の危険性」や「順位の相対的重要性の低下」について指摘してきた。

実際、Google のランキングシステムにおいては単に順位だけでなく、同時にトラフィック流入数)やコンバージョン、滞在時間など複数の指標を組み合わせて評価しなければ、SEO の適切な効果測定や費用対効果の測定が難しいケース(たとえば一定規模以上のeコマースサイト、メディア)もでてきている。ランキングや表示内容が朝昼晩の時間帯や検索場所(e.g. 東京と大阪)によって変化することや、インターネットに慣れた人々の増加、検索タスクの複雑・多様化により、必ずしも順位が高いことだけが成果をもたらすわけではないためだ。

さて、今年は検索エンジンの進化、とりわけ「検索結果 UI の進化」が非常に進んだ年であったといえるのだが、その波は日本にも押し寄せてきている。今回は検索結果の UI がどのように変化しているのか、そして検索エンジンマーケティング担当者、とりわけ SEO にかかわるマーケッターは2010年に何を見据えなければいけないかについて説明したいと思う。


Googleリッチスニペット」「パンくずリスト表示」

今年を振り返ってみると「SearchWiki(サーチウィキ)日本版」「検索ツール(Searchh Options)」など様々な検索ツールを投入してきたGoogleだが、直近でもUIを進化する新機能をリリースしている。それが「URL のパンくずリスト」「リッチスニペット」を日本国内投入だ。

前者のパンくずリストとは、検索結果に表示されたページが、該当サイトにおいてどの位置に属する情報かを分析して、そのページが所属するカテゴリをパンくずリストとして URL 表示欄に示すものだ。

たとえば、Panasonicデジタルカメラ、型番 XX-XXX という製品があったとしよう。この製品の情報を掲載したページを、サイト上の「製品」>「デジタルカメラ」>「コンパクトサイズ」というカテゴリ下においたと仮定する。すると、キーワード「XX-XXX」で検索して、該当ページが検索にヒットしたとき、その URL 欄に、デジタルカメラ>コンパクトサイズ、という文字列が表示されるのだ。

この文字列をクリックすると、検索利用者は該当カテゴリのページに直接アクセスすることができる。最近 Google が追加したサーチスニペット(Search Snippet)を拡張したようなイメージだが、単にクエリとぴったり一致するページだけでなく、その関連ページにも直接アクセス可能にすることで、検索体験の全体的な改善を図ろうというものだ。とりわけ過去に当該サイトを訪問した経験があり、おおよそのサイトの情報構造を把握しているユーザ(つまり再訪問クエリ)にとって便利だと感じられることもあるだろう。

後者のリッチスニペットは、検索結果のスニペット(説明文)欄に、レビューの件数や評価(☆マーク)、レビュー投稿者や製品の価格帯など、ユーザーに便利で有益な情報を表示する拡張機能だ。Web サイト運営者は、microformats や RDFa などのセマンティックマークアップを用いて構造化データを作成し、それを該当ページ内に埋め込むことで対応できる。※

リッチスニペットの表示はランキングアルゴリズムで決定するため、構造化データに対応しても必ず表示されるとは限らない。

商品購入の意志決定時に、当該商品やサービスを購入した他の消費者の声を参考にしたいという人は少なくない。検索結果上にあらかじめレビューの概略情報を表示することで、購入判断の材料になる情報がリンク先にあることを明示することが可能となるため、クリックスルーの向上が期待できるケースもあるだろう。


Bing 日本版もクラスタリング検索機能を実装

日本国内で現時点で検索シェアは小さいものの、Yahoo! との検索事業提携によって注目を集める Bing(ビング) 日本版も、米国ですでに提供していたウェブグループ(Web Groups、いわゆるクラスタリング検索)に一部対応することで、私たちが当たり前に考えていた「検索結果1ページあたり10件表示」の概念が崩されようとしている。

たとえば「相武紗季」と検索すると(2009年11月20日15時時点)、検索結果の左側には「CM」「ブログ」「水着」「掲示板」「壁紙」「ニュース」といったカテゴリが表示され、これをクリックすると検索結果はリスティング広告枠と自然検索枠含めて変化する。これは現時点で都市名や人物名、イベントなどのクエリに対応している模様で、「沖縄」と検索すると「旅行」「天気」「ダイビング」「ホテル」「土産」などのカテゴリが表示される。

同じジャンルであってもクエリの性質に応じてグルーピング項目も変化する。同じ山に属するクエリでも「富士山」と「阿蘇山」が、同じく場所でも「静波海岸」と「浜名湖」、アニメであれば「クリリン」「ヤムチャ」「ベジータ」など、他にも「札幌時計台」「東京タワー」「東京ディズニーシー」など、クエリのカテゴリや検索意図(Query Intent)ごとに適した項目を表示するようになっている。

さらに、Bing はこのウェブグループ機能を検索結果のランキング表示領域にも適用し、「リンクの一覧・羅列」を捨て、ユーザが必要な情報に迅速にアクセスできるような工夫を試みている。

たとえば検索クエリ「沖縄」を例にとると、自然検索1〜5位は普通に並ぶが6件目以降は「沖縄 旅行」の見出しと該当結果3件、次に「沖縄天気」と該当結果3件、「沖縄ダイビング」と〜(以下、略)といった具合に、入力したクエリ(この場合は沖縄)に対する結果を羅列するのではなく、該当クエリを検索した人が連続して再検索することが多い組み合わせキーワードの結果を表示するようになっているのだ。

Bing の ウェブグループについて、「Yahoo!JAPAN や Google の関連検索ワード」と同じではないか、あるいは検索業界に詳しい方であれば、かつて AlltheWebVivisimo などが提供するクラスタリングと同じではないかという人がいるかもしれない。しかし、Bing の ウェブグループは、それらとは異なる。

Yahoo!JAPAN や Google の関連検索ワードは、クエリベースまたはクロールベースで、頻繁に組み合わせて出現される言葉を表示する方法を採用している。過去の検索エンジンのアプローチは、検索クエリにヒットする文書を集めて、その中に出現する言葉から組み合わせを自動的に抽出している。

このため、表示されるカテゴリが検索ユーザーにとって、すなわち、目的の情報に迅速にたどり着けるか?という基準から見ると必ずしも適切な分類表示が行われるわけではなかった。

対する Bing は、ユーザーの検索行動や検索クエリの属性、直前直後のクエリを分析して、ジャンルごとに代表的な、かつ情報探索に役立つカテゴリが表示されるように開発・整理・分類されている。

Bing 米国版は「自動車」「製品」「都市」「スポーツ」「人物」「エンターテイメント」「旅行」など、とりわけ検索タスク量が多いジャンルのクエリに対して、グルーピングが適切に行われるようにデザインされている。したがって「Wii」と検索すれば修理や販売店、周辺機器(アクセサリ)などのカテゴリを表示する一方、旅行クエリであれば観光地や天気など、旅行関連の検索実行時に同時に求めるであろうカテゴリが表示されるようにチューニングされている。

日本版はまだ「Bing ベータ版」と表記されているように開発中であるが、いずれ正式リリース時には Yahoo!JAPAN や Google と十分に競争できるレベルまで仕上げてくることが期待されよう。


リスティング広告SEO にどんな影響が出てくるか?

さて、直近2か月だけを見ても、検索エンジンはこのように、検索エンジンマーケッターにとって影響が大きい変更(進化)を遂げている。こうした変化によって何が変わるのだろうか?

Bing は検索結果がグルーピング表示されること、グルーピングの見出し、あるいはカテゴリをクリックすることで検索結果が変わることになるので、リスティング広告のキーワード出稿戦略やクリエイティブはそれを意識した対応をする必要があるだろう。SEO の観点からは、過去に散々繰り返してきたので割愛するが、まさしく Bing のこの方式も、SEO の効果測定指標におけるランキングの意味を大きく下げることになる。※

※ 意味がないわけではない。ランキング“だけ”見るのは危険である、ということ。


いつまでも「SEO=リンク」ではない

Google の検索結果の進化は、いまだに一部の SEO 担当者が信じている「リンク張っておけばいい」の考えが時代遅れになることを意味する。

検索結果 UI に関する Google の最近の変更はいずれも、外部リンクをいくつ獲得するかという話ではなく、いかに Web サイトのアーキテクチャを整えるか、機械が読み取れるような構造化が行われているかに尽きる。

同じ検索意図を持つキーワードのバリエーションの中から数個のみを取り出し、そこに対して大量リンクを貼り付ければ SEO は十分、という時代がすでに過ぎ去ろうとしていることは、今回取り上げた技術の進化1つを見ても読み取れよう。

リッチスニペットについては、現時点でレビューと製品価格帯しか対応していないが、いずれ範囲が広がる。不動産やエンターテイメント、eコマースなどのメディアはいずれ対応が必須になってくるはずだ。

最近は Twitter などのストリーム Web やソーシャルメディアなどの興隆によっても SEO の戦略・戦術を再定義することが求められているが、検索技術そのものの進化も、SEO を実施するための領域が大きく拡大し、単に狭義の意味での SEO(いかにリンクを上手に活用するか)だけでは、たとえランキングが上位にあっても見込み顧客を呼び込むことは困難になってきているということを認識してほしい。

[大学]の検索結果から考える URL と SEO

Yahoo! 検索で『大学』と検索してみてほしい。1ページ目には、大学公式サイトのほか、title 要素に「大学」を含み、大量の外部リンクを集めた一部の情報サイトが表示されている。その中で、ある不思議なページが上位表示され続けている。

長期間5位以内に表示され続けているのは、ある予備校のサイトの大学入試情報ページである。このページは title 要素に「大学」を含んでいないなど、本格的な SEO は行われていないと推測される。

2009年11月22日現在、上位30位までの間で title 要素に「大学」を含まないサイトはこのサイトだけである。そしてこのサイトは、弊社の記録では2年以上前から5位以内を維持しているのである。

Yahoo! 検索では、公式サイトが上位表示されやすい傾向がある。「大学」という検索でも膨大な数の大学公式サイトが並んでおり、大学の公式サイト以外を上位表示させるのは容易ではない。その中で予備校のWebページが数年にわたり上位表示されている理由について説明しよう。


予備校の情報が表示される原因

上位表示されている予備校の大学入試ページは、Web サイト内および Web ページ内部では SEO を考えた構成が取られていない。また、検索エンジンから評価される外部サイトからのリンクも、他ページと比較して大量のリンクを集めているわけでもない。

しかし、このサイトには他には無い大きな利点がある。10年以上前から同じ URL で価値あるコンテンツを公開し続けていることである。この Web ページを、過去の Web の情報を確認できるサイトで調査すると、1998年から同じ URL で大学入試の難易度など、非常に価値があるコンテンツを公開し続けてきたものと推測できる。

入試シーズンになると自然とリンクが集まるコンテンツを毎年同じ URL で公開しつづけ、10年に渡ってリンクが集まり続けた結果、他サイトのように内部の最適化や大規模なリンクを集める施策を行わずとも、検索エンジンからの評価に繋がっているものと推測される。

今回の Web ページは、他の検索エンジンの「大学」検索でも高い順位となっているわけではない。しかし、この Web ページが外部リンクを効果的に受け続けることは、Web サイトの全体の SEO 評価に結びついていると考えられるだろう。


同じ URL を使い続ける利点

今回挙げた例以外でも、同じ URL を使い続けることには様々な価値がある。直接の SEO の価値以外にも、ブックマーク機能を使うユーザーが混乱しない、関係サイトからのリンクの張替えの必要がないなど、複数の利点があるだろう。

SEO 観点だけで考えるのであれば、URL 変更を行ったとしてもリダイレクトを適切に行うことで、その SEO 価値を活かし続けることは可能である。ただ、リダイレクトを行った場合、いくらかのリンク価値は減衰すると考えられる。サイトのリニューアルや移転などでの URL の SEO ベストプラクティスは、適切なリダイレクトではなく、URL を変更しないことである。

しかし、同じ URL を使い続けることは必ずしも最適ではない場合もある。検索エンジンから評価されづらいサイト構造や URL のルールを使い続けることは、長期的なプラスにならないだろう。また、リニューアルなどでサイト構造が変わったにも関わらず、リンクが集まった重要なページだけ URL を変えないということは、運用ミスを招くことも考えられる。

重要なコンテンツを公開する URL は変更を行わず、同じ URL を使い続けるのが SEO 観点では最適である。もしも変更を行う場合には、2度と変更しないで済むように、サイト構造と SEO 観点の両方で最適なものにすることが必要であろう。


資産としての URL を失わないために

毎年のようにリニューアルを行い、デザイン改編とともに、URL 構造の変更を繰り返すサイトがある。組織や体制の改編の度に公開されているコンテンツの URL も変更されるサイトがある。それらは、Web ページの SEO 価値を定期的に捨てているとも言える。

もし URL 構造が、Web デザインや担当組織など変動しえる内容を元に考えられたものではなく、変わらない内容、例えば想定顧客層などを元に分類・整理していたのならば、長期間に渡り URL を変更する必要はないだろう。そのことは、冒頭で説明した Web ページのように、貴方の Web ページの力を着実に溜めていくための力となるだろう。

検索エンジンが Web ページを評価する価値の多くは、ドメイン・URL に対して紐づけられる。その価値を最大化するために、自分のサイトが10年後になっても使える URL・サイト構造になっているかを考えてみてはいかがだろうか。

バックリンクのドメインの種類(数)は多いほど検索ランキングは高くなる?

Web担当者Forumの連載「正しいSEO相談室 SEM総合研究所分室」にて「リンクはリンク元サイトのドメイン名の種類が多いほど価値が高いのでしょうか」という質問に対する回答を書きました。

リンクはリンク元サイトのドメイン名の種類が多いほど価値が高いのでしょうか [Web担当者Forum] http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/12/24/7051

バックリンクの多様性(diversity)に関する議論は、2003年末〜2004年にかけて欧米で話題になっていました。検索マーケティング業界に古くから携わっている方はご存知かも知れませんが、この時期は Google Florida Update (フロリダ・アップデート)などが騒がれていました。当時、Googleが新しく導入した検索技術や評価手法によって、ランキングが大幅に変動しました。この中で注目された技術の1つが、Hilltop(ヒルトップ)に関するアルゴリズムですが、それに含まれる要素の1つがリンクの多様性という概念です。

検索エンジンは様々な評価指標を用いて、無数のウェブ文書の中から検索クエリに合致する、人気・信頼がおけるコンテンツを探し出そうとします。この際の1つの基準として「本当に人気があり、信頼がおけそうなサイトは、不特定多数の様々な人から支持を受けているはず」ということで、この"不特定多数の支持" がバックリンク元となるドメイン(サイト)の種類で表されるということです。

ただし、あくまで理論上のお話です。実際には200以上ともいわれるGoogleの複雑なランキング手法によって総合的にページの関連性は計算されるため、単純にリンク元ドメインのバリエーション増加に比例してページの価値も上がる(すなわち、ランキングが上昇する)というわけではありません。

最近の(ブラックハット的な)SEO手法として、特定多数の無料ブログサービスに自動的に記事を投稿して、その中にターゲットとするサイトへのリンクを狙いのアンカーテキストで張りつける、という手法があります。これは、そのドメインの多様性による評価上昇を狙ってのものですが、そもそもそのブログサイトの価値が著しく低ければ評価に値しません。さらに、最近はGoogleYahoo! JAPAN もこれらゴミ同然のサイトをインデックスから除外したり、リンクの評価を渡さない(無効にする)などの対策もとっているので(当事者が)期待したほどの効果が得られないこともあります。

また、最近はYahoo!JAPANのビジネスエクスプレスのような、有料審査型のディレクトリ型検索サイトでSEO効果をうたうサイトが増加していますが、これも全てが必ずしも同等の期待する効果が得られるわけではありません。残念ながら、「リンクを売る、SEOを目的として存在するディレクトリ」も存在します。こうしたサイトは、そのサイト自体が十分な評価を得ていないために、せっかくお金を払って審査してもらい、サイトを掲載してもらっても、実はランキングへの貢献の観点からは効果がほとんどないケースも存在します。

以上、技術的な観点からドメインの種類について論じてきましたが、そもそもSEO実施者はバックリンクの多様性について注意を払う必要は、基本的にありません。

この知識が必要なのは、(1) リンクを大量に販売する者、(2) リンクを一度に大量に購入する者、(3) SEOを事業として展開する者 に限られます。なぜなら、普通に外部リンク対策を行っていれば、リンクは多様性が担保されるからです。

重要なことなので繰り返します。別に意識しなくても「普通」(自然リンクを獲得するための施策)に外部施策を行っていれば、被リンクのドメインの種類は必然的にバリエーションが増えます。先に挙げた3つの条件のいずれにも当てはまらないのであれば、神経質に気にする必要はありません。

パナソニック、三洋子会社化を完了

パナソニック三洋電機の子会社化を完了。国内最大の電機メーカーグループが誕生した。
2009年12月22日 07時00分 更新

 パナソニックは12月21日、三洋電機の子会社化を完了した。資本提携の合意発表から約1年を経て、国内最大の電機メーカーグループが誕生した。両社の技術とノウハウを結集し、パナソニック創業100周年となる2018年に向けて「エレクトロニクス業界で世界No.1の環境革新企業を目指す」としている。

 株式公開買い付けで取得したA種優先株式、B種優先株式の全部について普通株式の交付を請求し、三洋が交付。パナソニックの三洋株式保有比率は50.27%となり、三洋とその一部子会社がパナソニックの特定子会社になった。

 子会社化の完了に伴い、来年2月1日付けでパナソニックの古池進副社長が三洋の上席副社長執行役員・経営企画本部長に、パナソニックの榎坂純二常務が三洋の副社長執行役員・コンシューマ事業担当に就任する人事などを発表した。

ndroidがiPhoneから関心を奪いつつある?

米国ユーザーの間ではGoogleAndroid OSに対する関心が高まっており、今後AppleiPhoneに対する注目は薄れる可能性もある――。米調査会社ComScoreが12月17日付の報告書でそう指摘している。

 ComScoreが今年8月に携帯電話ユーザーを対象に「今後3カ月でどの携帯電話を購入したいか」を尋ねた調査では、Androidを搭載するスマートフォン(当時はまだ「T-Mobile G1」と「T-Mobile MyTouch」の2種類しか選択肢がなかった)を選んだ回答者は全体のわずか7%で、iPhoneと答えた回答者が21%だった。11月に再び同じ調査を実施したところ、Androidを搭載する端末を購入したいと答えた回答者が全体の17%に増加し、iPhoneを購入したいと答えた回答者は20%(3Gと3GSを合わせて)だったという。

 11月の調査では、Android搭載端末に関心を寄せているユーザーの中でも、とりわけMotorola DROIDの名前を挙げた回答者が8%に達した。Verizon Wirelessは目下、このDROID端末の広告キャンペーンを大々的に展開しており(同端末は現在Verizonのネットワークでのみ利用可能)、 ComScoreによるとこの取り組みが奏功しているという。Androidの市場シェアはまだ小さいが、この1年間で倍増し、10月には3.5%に達している。

 「米国市場では来年1月までに複数のメーカーから複数のキャリア向けに多数のAndroid搭載端末が投入されることが予想されており、 Androidプラットフォームはスマートフォン市場を大きく揺るがしつつある」とComScoreのモバイル担当上級副社長マーク・ドノバン氏は12月 17日の声明文で指摘している。

 「iPhoneApp Storeや熱心なユーザー層に支えられ、ビジネス市場ではカナダのResearch In Motion(RIM)が依然リーダーの座を維持する一方、Androidは開発者や消費者の間で明らかに勢いを伸ばしている」と同氏。

 またComScoreによると、iPhoneユーザーとAndroidユーザーには、一般的なスマートフォンユーザーと比べてモバイルメディアの利用率が高く、端末の機能をフルに活用する傾向が強いという共通性が見られ、開発者やキャリアにとってはそうした傾向が励みになるという。 ComScoreが7月と8月と9月に実施した調査の結果を平均すると、「携帯端末でモバイルメディアを利用する」と答えたユーザーの割合は、一般的なスマートフォンユーザーの間では80%であるのに対し、iPhoneユーザーの間では94%、Androidユーザーの間では92%と高くなっている。また「ニュースや情報の収集にブラウザを利用する」と答えたユーザーの割合も、AndroidiPhoneのユーザーの間ではどちらも80%と高くなっているのに対し、ほかのスマートフォンユーザーの間では65%にとどまっている。

 またAndroidユーザーとiPhoneユーザーは、一般的なスマートフォンユーザーと比べてインスタントメッセージ(IM)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用率が高い点でも一致している。ただし、メールの利用については差が見られ、「携帯でメールを利用する」と答えたユーザーの割合は、一般的なスマートフォンユーザーでは70%だったのに対し、Androidユーザーは63%、iPhoneユーザーは87%となっている。

 もっとも11月の調査結果でいちばん際立っていたのは、RIMのBlackBerryを購入したいと考えているユーザーの多さだ。「今後3カ月でどの携帯電話を購入したいか」を尋ねた11月の調査では、最も人気が高かったのはBlackBerry Pearlで全体の18%のユーザーが購入を希望、ほかにも13%がBlackBerry Storm、11%がBlackBerry Curveを購入したいと答えている。そのほかBlackBerry BoldBlackBerry Tourもランク入りを果たしている。

 一方、Palm Preを購入したいと答えたユーザーは全体のわずか2%、Palm Centroについては1%にとどまった。Palmは12月17日に、2010会計年度第2四半期に8190万ドルの損失を計上したと発表し、不振の理由として SprintネットワークでのPalmスマートフォンの需要が伸びなかった点を挙げている。SprintはPalm端末のほかにAndroid搭載端末を幾つか提供している。

Twitterの2009年度業績は黒字--BusinessWeek報道[CNET Japan]

これは驚きだ。Twitterの2009年度の業績は黒字になる見通しだと、BusinessWeekが情報筋の話を引用して報じている。何が起きたのか? 同社は、GoogleMicrosoftとの検索契約によりかなりの大金を手にし、それによって1億ドルをはるかに超えるベンチャーキャピタル資金を集め、未公開株式の評価額は約10億ドルとなっている。

 同社が未だに長期的な収益戦略を打ち出していないことを考えると、これは、置き去りにしてしまった8歳の子供が待つ自宅へと戻ろうとしたパニック気味の母親が、John Candy率いるポルカバンドの車を幸運にもヒッチハイクできたという映画「ホームアローン」に出てくる話に並ぶ、クリスマスの奇跡の1つにちがいない。

 では、詳細を見てみよう。情報筋がBusinessWeekのSpencer Ante氏に伝えたところによると、GoogleMicrosoftの「Bing」との検索契約により、Twitterはそれぞれ1500万ドルと 1000万ドルを手にし、それによってTwitterはテキストメッセージ機能にかかっていた高いコストの一部を削減することができたという(そのコストがあまりにも高かったために、Twitterは一時的に国際的なSMSコードを制限する必要もあった)。なるほど、それはすばらしい。どちらも妥当な金額だと思われるし、Twitterが2009年初めに雇用したモバイルビジネス開発を担当する人物が何らかの形でこれに関与しているようだ。またAnte氏の記事では、Twitterの2009年の業績は黒字になると情報筋は述べたが、だからといって2010年も黒字になるとは限らないと明記されている。

 しかしキャッシュフローが黒字であることと、収益性があることは異なるし、Twitterの他の支出が何だったのか、2010年にはどのような支出があるのかもはっきりしていない。

 以下は、Ante氏の記事の抜粋である。

 Twitterはこれだけの人気を博したため、通信企業に対して金銭的に有利に交渉する力を得た。サービスに対する同社の支払い割合が非常に低い数多くの契約について、通信事業者との間で再度交渉ができた。ある情報筋は、「かつてはそれが最大の支出だった」と述べている。「全体的に、そのようなコストはなくなった。今では人件費が最大の支出である」(ある情報筋)

 そう、人件費だ。移転したばかりの新しいオフィスやまだまだ増加中の給与などだ。そしてハードウェアにも費用がかかる。邪悪なくじらの攻撃に備えて、防御用の武器が必要だからだ。また、何かを購入することもあるし、現在実施している(おそらく将来的には課金することになる)「コントリビューター」アカウントのテストのような新機能の開発も続けている。したがって優れたモバイル戦略によってコストを削減しても、それ以外にも同時進行で増大する可能性のあるコストが数多く存在する。

 Twitterにとってのよい知らせは、検索契約によって2500万ドルを獲得したのならば(それが真実ならばの話だが)、同社はそれをより強力な長期的収益戦略へと拡大できる可能性があるという点である。批評家らは、Twitterが広告や有料アカウントによって収益を上げようとする可能性に対しては懐疑的であり、Twitterの「会話」能力に現在大きな関心を寄せる企業らが、より詳細な分析をするための資金を捻出するだろうかという議論について深く考えた者は誰もいない。

アイレップ、商品の「口コミ」収集

大証ヘラクレス上場で検索エンジンマーケティングアイレップは、特定の商品やサービスに関する評価や感想といった口コミ情報を収集して、企業のサイトに掲載する新サービスを始める。購買や予約を決める際に口コミが与える影響力が高まっており、自社サイトに口コミを掲載したい企業が増えていることに対応する。

 新サービスは「口コミLPO」。検索結果のリンクをクリックすると表示するページの内容を、検索ワードや利用者ごとに変える「ランディングページ最適化(LPO)」サービスの一環。

[2009年12月24日/日経産業新聞]